理想の看護師像を聞かれると「患者さんに寄り添うことのできる看護師になりたい」と答える看護師は多いようです。「患者さんに寄り添う」とはどう意味でしょうか。
理想に近づくために、どんなことをすればよいのか一緒に考えてみましょう。

「寄り添う」とは、「寄る」つまり相手の側にいること、そして「添う」とは、ぴったりつくことです。
患者さんに寄り添う、とは物理的に側にいることではありません。相手の心の側にいること、つまり感情、気持ちに共感すると言い換えることができるでしょう。
患者さんが不安を感じているとき、「大丈夫ですよ」と言ってあげられる余裕こそが、寄り添うことなのかもしれません。

もし、業務に追われていつも速足でせかせか歩き、大変そうな様子でいるならば、患者さんは「看護師さんは忙しそうだから」と遠慮して、言いたいことがあっても言えないかもしれません。このように、無意識であっても、相手に気を遣わせてしまっている場合、それは寄り添っているとは言えないのではないでしょうか。

寄り添うということは、相手の話を聞くことも意味しています。治療で辛い思いをしていたり、不安に感じたりしているなら、その思いに耳を傾けるべきです。「ちゃんと薬飲んでくださいね」「しっかり睡眠をとってくださいね」「運動してくださいね」と、治療のアドバイスするのは簡単ですが、それだけでは寄り添っているとは言えません。相手が治療に対してどう感じているのか、不安や悲しみを感じているのか、しっかりと耳を傾けることこそ、患者さんに寄り添った理想の看護と言えるでしょう。