こちらでは、ナイチンゲールの歴史から現代に当てはめてお話したいと思います。
1854年、ヨーロッパ諸国とロシアがクリミア半島で泥沼の戦いを繰り広げ、何万人もの兵士が亡くなりました。旧知の仲であった、当時の軍務大臣の要請を受けたナイチンゲールは、40名の従軍看護師団を結成し、陸軍病院へと向かいます。
現地入りした看護師団が直面したのは軍医の妨害です。ナイチンゲールは人脈をフル活用して上司に対抗。軍務大臣に手紙を送り、ヴィクトリア女王からナイチンゲールに仕事をさせるよう勅令を出してもらった、というお話があります。
この一連の出来事を、現代の看護師も参考にできる部分があるのではないでしょうか。
師長が現場の状況判断ができていない場合、まともに立ち向かっても心身も時間も消耗してしまうだけです。そんなときには看護部長に伝えて、状況を改善してもらうのが得策でしょう。
次のハードルは病院の衛生環境の悪さです。
傷ついた兵士たちは廊下に置かれた担架に放置され、自らの排泄物にまみれていました。問題解決のため、ナイチンゲールは、即座に掃除用品を調達し、最もケガの軽い患者たちに院内の掃除を依頼します。重症患者もいる中で、看護師団はわずか40名。人手不足を解決し、なおかつ衛生問題を解決する具体的な行動を起こしたのです。
トリアージという概念もない時代、患者の重症度を判断し、軽症者を人手として使うことも躊躇しませんでした。問題ある労働環境、マンパワー不足は、現代の看護師も直面する問題です。
現代にあてはめると、ナイチンゲールは、即座に問題を把握し、手段を択ばずにシステムを自ら構築するということをやってのけたことになります。判断力と行動力、そして問題をクリアするためにシステムを構築する手段は、現代の看護師も見習う部分が大きいのではないでしょうか。